和食器のお手入れ方法 長く美しく使うため知っておきたいコツ

茶人と和食器の関係、千利休に代表される有名な数々の茶人たちがこよなく愛し続けた和食器たち。そのいくつかは数世紀を経た現代でも、まだ現役で活躍し続けています。人の一生を超えて、数世代にわたってながく受け継がれてきた和食器の遺産は、あるものは国宝として、また、無形文化財として職人たちの技に反映されてきました。

そこまで大げさではなくとも、和食器はお手入れをして、正しく取り扱えば、非常に長く使用でき、私たちの生活に潤いを与え続けてくれます。お気に入りの大切な器、毎日使いたいからこそ大切に扱いたいものですね。

洋食器とは趣が異なる和食器は、その文化と概念もかなり異なります。例えば、洋食器では注意するべき汚れ、シミ。和食器では、逆に、使うほどに、少しずつ変化していくことを楽しむ文化があります。シミや、汚れ、割れ、欠けまでも、大切な芸術として尊ばれてばれてきたという、西洋の世界からみると、これもまた不思議な和食器の世界があります。

それでは、これから、その和食器についての豆知識と、正しい手入れ方法と、保管方法、使用方法、洗い方などキレイにする方法を考えてみましょう。


器(うつわ)とその生地の種類

和食器には、土もの、石ものという表現がありますが、陶器のことを「土もの」、磁器のことを「石もの」と読んでいます。「土もの」の陶器とはその字のとおりに生地が土でできたものをさしています。織部焼、萩焼や黒釉、「焼締め」や「粉引」の陶器などがあります。もちろん、和食器としての陶器は、とてもデリケートで手入れも必要です。とくに、色の薄い器には汚れがつきやすいので、「粉引」、「焼締め」、「萩焼」などの陶器には注意しましょう。

続いて「石もの」の磁器です。裏側の高台部分を見ると特徴があります。陶器とは異なり、その高台の部分が白くて硬いのです。これは、白磁や青磁というもので、こうした磁器製の食器は、和食器よりも洋食器によく見られます。そして、磁器の特徴の最も大きなものは丈夫であるという点です。もちろん、電子レンジにも問題なく使用できます


陶器を手に入れたら?

皆さんが「土もの」を購入したら、まず必ずしなければいけない手入れ方法があります。それは煮沸するというものですが、実際にはどのようにしたらよいのでしょうか。

米ぬかか、あるいは、米のとぎ汁を用意してください。その水をひたひたにして15分から30分ぐらい加熱してください。陶器がお湯の中でぐつぐつと煮えない程度の火加減を保って、中弱火で煮沸していきます。もしも、その陶器が大きい器だったら、どうしますか。そのときは、なべに入らないことが多いので、一晩中、そのお湯に漬けておくだけで大丈夫です。

このようにすると陶器にはどのようなよい影響が生じるのでしょうか。先にもふれたように陶器は「土もの」の器ですから、その表面に塗られて焼成されたときに、その釉薬には多少のひびが入ります。それを煮沸することで、その陶器の性質上、そこから化粧土の部分へ、続いて生地の部分へと水分が入り込んでいきます。こうした現象を「貫入」と呼んでいます。

実は、米ぬかで煮ることにとても大切な意味がありました。ぬかの入った水で煮沸、または漬け込むことによって、その貫入部分に米ぬかの油分が入り込んで、そのひびに蓋をする働きをしてくれるわけです。そうすると、しょうゆなどがたれてシミができたり、油ジミなどができるのを防いでくれるのです。ですから、こうした「土もの」を購入した際には、まず、保管方法の一歩として必要な儀式ですから、必ずやっておきましょう。

このように煮沸をすることによって、ひび割れから生じる水漏れの防止にもなりますね。煮沸をした陶器はかなり暑くなっていますが、決して、水などで急激に冷やさないようにしましょう。自然に冷ましてから、水洗いをして、その後はよく乾燥させることが正しい保管方法です。


磁器を手に入れたら?

次にキレイにする方法ですが、陶器の複雑さに比べると磁器の場合は大変にシンプルです。使い始めは、柔らか目のスポンジなどを使って、きれいに汚れを洗い流してから使用するまで保管します。洗った後は、陶器と同じように、よく乾燥させてください。


和食器を使用したあとは?

では、陶器や磁器を使用したあとは、どのようにお手入れをしたらよいでしょうか。いくつか留意点があります。

和食器は、食事やお茶で使用したあとの汚れたままでの放置は絶対に禁物です。和食器で食べる料理は格別なおいしさがありますが、しょうゆ料理やカレー料理などでは、汚れたままで放置すると、その色が生地にまで染みついてしまうことがあります。和食器の場合は漂白をしても土にしみ込んでしまって取れなくなる場合もありますし、最悪の場合は、においがついてしまって取れなくなります。このようにならないように、使用後はすぐに洗う習慣をつけましょう。


和食器を洗うときのご注意!

楽しく食事を終えて、さあ、すぐに洗いましょう。それは正しいのですが、洗うときに何か特別に注意することがあるのでしょうか。ここからは、和食器の取り扱いとも関連して、正しい洗い方とキレイにする方法をご紹介します。

  1. まず、食べ残った食物は他の保存容器に移し替えてください。磁器食器であれば、そのままラップをかけて、料理により冷暗所、冷蔵庫による保存などで大丈夫なのですが、陶器の場合は、釉薬がかかっていたとしても貫入がありますので陶器の性質を考えるとラップ保存には対応できないということを覚えてください。
  2. 陶器は必ず手で洗ってください。食器洗い機などを使用しないでください。その際にはつけ置き洗いは避けましょう。
  3. 粉引や釉薬の掛かった器は、やわらかいスポンジを使用して丁寧に手でやさしく洗います。洗剤は食器洗い用の洗剤で問題ありません。
  4. 焼締めや高台の部分などは、表面がざらついていますが、そのような器はスポンジですと、ざらついた部分をきれいに洗えません。ですから、必ずタワシを使用して洗ってください。
  5. 乾いた布巾や、キッチンクロスなどでよく拭いてから、風通しのよいところで陰干ししましょう。これをしないでただ布で拭いただけ、あるいはたとえ表面が乾いたとしても、陰干しをせずに収納してしまうと、その水分を含んだ器には必ずカビが生えてしまいますので、陶器の場合は,この点にご注意ください。よく乾かしてから保管しますと、臭いやカビを防止することができます。


陶器の表面にシミや臭いがついたときは?

表面のシブやカビを見つけたら、すぐに漂白剤に漬けてください。しかし、土にまでしみ込んでしまった場合にはあきらめてください。そのようなシミは何をやっても決して取ることができないからです。食器棚は風通しをよくして、そこに和食器を保管してください。

臭いがついたときはどうすればよいのでしょうか。その場合は、重曹水を作って半日から丸一日、漬け込んでから乾燥してください。煮沸をすると効果的ですが、一回では取れないことも多いので、その場合は、臭いを感じなくなるまで繰り返しましょう。

いかがでしたか?皆さんの中には、少し面倒に感じられた方も多いと思いますが、実は、このようなお手入れに関しての知識があれば、和食器は、さらに魅力的なものとなるのです。しっかりと取り扱えば、一生涯にわたって使用することのできる和食器。お気に入りの和食器を長く使用するためにも実践されてみてはいかがでしょうか。