セーブル

セーブル
Porcelaines des Sèvres
セーブル焼
フランス国立セーブル製陶所

フランスのセーブルで生産される磁器です。ルイ15世やポンパドゥール夫人からの出資により開窯されたため、フランス革命時時には窯を破壊されましたが、ナポレオン1世によって再興され、1824年に国立セーブル陶磁器製作所となり現在に至っています。フランス国立磁器製作所セーブルは、少量生産という面でも、他とは大変に異なっています。その入手の困難さから「幻の陶磁器」とも呼ばれるほどで、生産量は年間約6000ピースに限定されています。これらのほとんどがフランス国家の公認ギフトとして作られていますので、一般にはほとんど流通していません。こうした少量生産のポリシーを貫いている大きな理由としては、「一切の品質を落とさない」という、徹底的に妥協を廃した国窯としてのプライドが挙げられます。職人の数も厳選されており、たった100人弱の職人たちにより作られているという、とても贅沢な陶器ブランドです。セーブル陶器の代表的カラーはブルーです。「クラウデッドブルー」や、コバルト焼成を3回繰り返した深みのある「ファット・ブルー」、水色に近いながらも独特の色合いの「アガサ・ブルー」などの色があります。それらを彩る金彩にもたくさんの種類からなる文様があります。では、それぞれのセーブルの製品を簡単に見てみましょう。

クラウデッドブルー

クラウデッドブルーのシリーズには、1845年にコンスタン・ペイールによってデザインされた「ペイール」や、18世紀のルイ15世の馬術教師ピエール・カラーブルの名前がつけられた「カラーブル」などの有名なシェイプを持つカップアンドソーサーがありますが、どちらも、持ち手の部分に個性的な特徴を持っています。「ペイール」は、竹をイメージしたハンドルに東洋的な影響を感じさせます。また、「カラーブル」は、人間の耳のような形のやわらかいイメージのハンドルに個性が現れています。セーブルと言えば、雲状にぼかしがついたコバルト釉が代表的ですが、その神秘的な深みを感じさせる陶器には、見るものを引きつける不思議な魅力があります。

ファットブルー

コバルトを3回彩色することによって、深遠で重厚な色に仕上がったこのファットブルーは、別名「王者の青」と称されています。王者ナポレオン1世時代の1810年頃にデザインされたこのカップは、エンパイア様式の金彩が用いられ、そのエンパイアという名前のとおりに、スタイリッシュで重厚、そして、厳格なイメージの中に華やかさを残す、美しいアンティーク様式となっています。その色合いが施された各シェイプのティーカップの持ち手は優雅さの特徴が感じられ、その洗練されたフォルムは、堂々たる皇帝が愛用するにふさわしく、気品にあふれています。

アガサブルー

独特の色合いが魅力的な「アガサ・ブルー」ですが、その奥行きのあるブルーはマットブルーのようでいて、大理石のような深みを感じさせる味わいがあります。このブルーは、簡単にまねのできるようなものではなく、非常に困難な技術を駆使して作られています。このアガサとは「瑪瑙(るり・agate)」というフランス語ですが、この瑪瑙色(るりいろ)から名前がつけられたという説と、人名からきているという別の説もあります。ソーサーなどに見られる金彩の多くは「転写」という技術が使われているものの、まるで緻密な手描きのようにも見えることから、セーブルの職人の技術の高さを知ることができます。

陶磁器に詳しい人なら、誰もか一度は手にしたい食器、それがセーブルですが、単なるセーブル焼と国立セーブル陶磁器製作所のセーブル陶磁器とは分けて考えることが必要です。希少性や価値の点では、国立セーブル陶磁器製作所の製品は別格です。もしも、1脚持っている方なら、非常に高価な食器として、高値の買取が期待できるはずです。

売られた方のお声:千葉県稲毛区E様
父の遺品を整理していたら、とても上品で高そうなカップとお皿が出てきました。ネットで調べた結果、これをウルトラバイヤーで出張の査定をしていただいたら、とても高い査定でした。驚いて尋ねると「これは本物のセーブルの陶磁器で、幻の一品と言われていますよ」と答えてくれました。何も知らずに、まとめて売ったら、もしかすると業者によってはただ同然だったかもしれません。ウルトラバイヤーの鑑定さんのような専門の方がいるおかげて、父の遺品が価値のあるものが多いということがわかりました。ほかにもありますので、これらも見てもらおうと考えています。